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環軸椎亜脱臼

環軸椎亜脱臼

『あれ?!こどもが首を傾けたまま動かせなくなってしまった!!』

親がこどもの首の傾きに気付いて外来を受診されることは日常診療でよくあります。幼児期から学童期にかけて、いわゆる斜頸を主訴として来院される小児疾患の中でもっとも頻度の高い疾患は環軸椎回旋亜脱臼です。この聞き慣れない疾患は、これまで正常であったのに、ある時突然、あるいは何らかの誘因があって首が傾いたままになってしまうものです。 環軸椎回旋転位、あるいは環軸椎回旋位固定などと呼ばれることもあります。 原因はまだ完全には解明されていませんが、軽微な外傷や上気道感染に続発して起ることが多いようです。 患児は首を傾け、回旋させる独特のポジションをとります。痛みのために首を動かされることを非常に嫌がります。 診断は、小児整形外科専門医が首を注意深く診察すれば容易にわかりますが、補助診断としてレントゲン撮影やCT検査も行なうことがあります。 CT 検査は診断価値の高い検査です。特に右方向最大回旋位と左方向最大回旋位の撮像を行なうことで、正常の回旋可動性が失われているかどうかを診断することができます。また、三次元再構成が可能ですので立体的な病態の把握にも非常に有用です。

環軸椎回旋亜脱臼は通常、重症度の順に次の4つのタイプに分類されます。

タイプⅠは前方偏位を伴わない単純な回旋転位です。これは小児に最も多く見られるタイプです。通常、たちの悪いものではなく、自然に治癒します。
タイプⅡ及びⅢは前方偏位を伴う回旋転位です。前方偏位が5ミリ以下のものがタイプⅡ、5ミリを超えるものをタイプⅢと分類します。
タイプIVは後方偏位を伴う回旋転位です。タイプⅡからタイプIVの回旋転位は危険を伴い、注意が必要ですが、タイプ III, IVは非常に稀です。

治療法の決定には症状の持続期間が非常に重要で、症状がどれくらい持続しているかにより、治療法を選択します。 まず、症状の持続が1週間以内の場合はソフトカラー固定と安静でほとんどが自然に治癒します。この方法でなかなか改善が得られない場合は入院して頂き、牽引および消炎鎮痛剤などの投与を行ないます。

次に症状の持続が1週間以上1か月以内の場合、直ちに入院して頂き、牽引と投薬を行ないます。臨床症状やCT scanなどで整復が確認された後、しっかりした頚椎カラーでの固定を数週間続けます。環椎の前方偏位がある症例では靭帯損傷が治癒するまでの期間、固定を継続します。これは通常6週間くらいです。症状が1か月以上持続する場合は少し深刻です。直ちに入院して頂き、麻酔をして頭部に牽引用のピンを設置して牽引するハロートラクション(halo-traction)を約3週間行ないます。それでも整復が得られなかったり、整復が得られても整復位が維持できない場合もあり、このような時には手術が必要となることもありますが、このようなことは極めて稀です。